AdsorptionとAbsorptionの違い
「Adsorption」と「Absorption」
「Absorption」は、スポンジやろ紙による水の吸収のように、
イオン、原子、分子が気体、液体もしくは固体に入る化学的または物理的過程を表します。「Adsorption」は、水を浄化するためのミョウバンによる不純物の吸着のように、液体、気体、浮遊物が物質の表面に集まる物理的過程です。
ある教師が学生の作文を採点していて不思議な文章を目にしました。
To become the Major of the town, I must have a Mayor in political science,
(町のMajor(専攻)になるには、政治学のMayor(市長)でなければならない。)
この間違いにはすぐ気がつきました。生徒は明らかに自分の文章を読み返していなかったのです。幸い、教師は文脈から意図した意味あいを理解し、生徒の失敗に目をつぶりました。
誤字脱字がすべてこのように無害で、やれやれとため息で済まされるならいいですが、次のようなアカデミック・ライティングでよく見かける誤字にご注意を!
それでは、本記事のテーマ、「absorption(吸収)」と「adsorption(吸着)」の違いを見ていきましょう。
「absorption(吸収)」と「adsorption(吸着)」はどちらも2つの物質の相互作用による現象ですが、吸収が物質全体に起こるバルク現象であるのに対し、吸着は物質の表面だけに起こる現象です。
「absorption」という言葉は日常的なコミュニケーションのなかでよく使われますが、科学用語である「adsorption」はアカデミックな場以外ではほとんど使われません。
このふたつの言葉は同音異義語に近いものの、互換性はありません。
一見すると些細な一文字違いに思えますが、アカデミック・ライティングでは大きな意味を持つわけです。
具体的には?
では、この空欄を埋めてみましょう。
Roots of plants _____ water.
(植物の根は水を_____する。)
「absorb」は科学的に証明された事実を示す一方で、「adsorb」では紛らわしく、疑問の余地が湧くまったく不条理な構成の文となってしまいます。
学術的な文章は、明解な情報伝達が求められ、歪曲できない証拠と観察に基づきます。だからこそ正しい言葉を用いることは望まれるばかりか、必須なのです!
もう少し、「absorption」と「adsorption」の正しい使用例を見てみましょう。
誤:Solar radiation is adsorbed in the Earth’s atmosphere.
正:Solar radiation is absorbed in the Earth’s atmosphere.
(太陽放射は地球の大気圏で吸収される。)
誤:Gases are absorbed on the plane surfaces of glass.
正:Gases are adsorbed on the plane surfaces of glass.
(気体はガラスの平面上に吸着される。)
「Absorption」と「Adsorption」の違いを覚えるコツ
まったく別の意味をもつ「absorbed」と「adsorbed」をどのように覚えればいいのでしょうか?ここでは、簡単なコツをご紹介します。
- Bulk(バルク)の「B」:「absorption」の「b」は、表面を超えて全体で生じる「バルク」現象と覚えると役立ちます。
- 練習あるのみ:かなりベタな提案ですが、今も昔も効果がある方法です。「absorption」と「adsorption」の例文をたくさん書き出してみて、しっかり意味を把握しましょう。
今回は「absorption」と「adsorption」を解説しましたが、次はどんな紛らわしい単語を解決してみたいか、ぜひ教えてください。