医師が薬を処方する際に使われる単語が「dose」と「dosage」です。両者は明確に意味が異なりますが往々にして混同されてしまいます。ここでは正しく使い分けられるよう、2つの意味を見ていきましょう。
「dose」とは、一度の服用のために計量された薬や物質の分量、つまり一回分の服用量です。薬の服用の頻度や回数は関係ありません。例えば以下のように使われます。
The doctor prescribed a 5 mg dose of biotin.
(医師は服用量5mgのビオチンを処方した。)
「dosage」とは、薬の投与量だけでなく薬を飲まなければならない期間や回数についての決定です。いつまでの間、何回服用しなければならないかを示します。例えば、
The doctor prescribed a dosage of 5 mg of biotin twice a day for two weeks.
医師は5mgのビオチンを1日2回、2週間投与する処方を出した。
1日2回、2週間というのは薬を服用する頻度と期間ですので、ここでは「dosage」が使われています。
では、メディカル・ライティングならではの例を考えてみましょう。
誤: We noticed that a dosage of 10 mg amphetamine did wonders on the patient.
正:We noticed that a dose of 10 mg amphetamine did wonders on the patient.
(用量10mgのアンフェタミンによって患者に驚くべき効果がみられた。)
誤: The patient was administered a dose of 200 mg lesinurad once daily for a week.
正: The patient was administered a dosage of 200 mg lesinurad once daily for a week.
(患者に200mgのレシヌラドを1日1回、1週間投与する処方が出された。)
「dose」と「dosage」の違いがお分かりいただけたでしょうか。一度理解すれば、迷うことなく正しい方を選べるでしょう。
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